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【告発記事】困窮者よりも株主を重視する東北電力を滞納者数から考える

2023年5月、関西電力と中部電力、沖縄電力を除く大手電力会社7社の電気料金の値上げ申請を経済産業省に認可し、6月に値上げが実施されました。東北電力の一般向けの電気料金は24%の値上げが行われました。


電気料金の値上げが行われた約2か月後、東北電力は記者会見にて、経常利益が前年度から3992億円増の約2000億円の利益になる見通しで、売上高の見通しは3兆200億円(史上最高益)であると発表しました。沖縄電力と東京電力を除く8社も同じく過去最高益を上げる見込みです。


そして、東北電力は値上げによって拡大した収益から総額約75億円を株主配当に回すことを表明しており、その約3割は投資信託会社や銀行といった大企業に配当されます。配当に回る約75億円は、電気代に換算すると、東北電力が公表している平均家庭100万カ月分に上ります(10万世帯の10か月分とも)(※1)。


私たちは署名の中で、この冬電気料金の滞納を理由に電気を止めないことを求めています。電力会社は株式を保有しているだけの大企業に巨額の配当を回す一方で、電気料金を払えないほどの困窮者を福祉につなぐこともせず、機械的に「命綱」である電気を停止しています。行政は電力会社と地方自治体に対して、料金滞納者を福祉制度につなぐことを促しており(※2)、電力会社はライフラインである電気を扱う公益事業としての責任を果たすべきです。


それでは、冬季に滞納による送電停止をしないことで、どれだけの負担を東北電力は負うのでしょうか。その金額が莫大すぎて実施不可能なのか、試算しました。


厚生労働省国立社会保障・人口問題研究所が2022年度に行った調査では、過去1年間に経済的な理由で電気料金の未払い・滞納があった世帯は、全体の2.1%でした。(※3)東北電力の電灯(家庭用電力)の契約世帯数は7177104世帯(※4)なので、単純に計算すると、東北電力の契約世帯で料金滞納している世帯は、約15万世帯と推定されます。1ヶ月あたり7500円の電気代として計算すると、滞納世帯全てに12月~2月の間電気を供給すると約35億円が必要といえます。しかしこれは、今年度配当に回る約75億円の半額以下です。


東北電力は、私たちが提出した公開質問状への回答で、「様々なステークホルダーに配慮している」と述べていましたが(※5)、実際には株主への配当をエネルギー貧困に苦しむ市民より優先しているのが見えてきます。市民が議論に参加する機会がほとんどなく一方的に決定された電気料金の値上げによって、エネルギー貧困が深刻になる一方、大企業は配当を受け取ります。配当に回す金額の半分を使えば、東北の寒い冬の中、たくさんの市民が電気を使えずに命の危機に陥ることを避けられるにもかかわらず、電力会社は機械的な電気の供給停止を続けています。こんな理不尽が許されて良いはずがありません。


エネルギーを市民の手に取り戻すために声をあげましょう!ライフラインは生存権の一部です。私たちは、ライフラインが権利であると声をあげることで、安心して生活できる社会へと変えていけると考えています。

私たちの活動に加わりたいという方はぜひfffsendai@gmail.comまでご連絡ください。


※2)生活困窮者自立支援制度と電気・都市ガス事業との連携について     https://www.mhlw.go.jp/content/001074803.pdf


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