世界の貧困拡大に対して立ち向かう
世界の貧困の状況は日々悪化しています。2021年に飢餓に見舞われた人は世界人口のほぼ10%に当たる8億2800万人に上り、水道がなく安全な水を飲むことができない人は世界に22億人いると言われています。
気候変動の被害を最も受けるのはこのような貧困に苦しんでいる人々です。最も気候変動の影響を受ける人々と地域のことを、MAPA(英語でmost affected peaple and areas)と呼んでいます。MAPAと、「発展途上国」「グローバル・サウス」と呼ばれる地域はおおよそ一致しています。
例えば、MAPAのひとつであるバングラデシュは、近年急速に経済成長している一方で、経済格差が拡大しています。1991年を境にバングラデシュの経済的不平等は急速に拡大し、2021年には、上位1%の富が、国民所得の16.3%を占めました(World Inequality Lab 2021)また、気候変動の影響で海面が上昇し、生活圏が水没したり塩水が川に流れ込んだりしており、海岸沿いに住む人々の多くは国内移住を強いられています。より良い環境を求めて移住をしても、都市部は急激な人口増加に対応できておらず、スラム問題に発展しており、生活が改善されないことも多いです。首都ダッカには5千以上のスラムが存在し、そこには400万人以上が暮らしています。うち75%は、家族で一つの部屋に住んでいます。バングラデシュでは2050年までに1300万人、つまり人口の7.5%が「国内避難民」となると予測されています。(https://www.businessinsider.jp/post-197740)
なぜ、気候変動が激化し、貧困が拡大するのでしょうか?
バングラデシュで住友商事などの日本企業とJICAがODA(政府開発援助)を通じて建設しているマタバリ石炭火力発電所を考えていくと、気候変動と貧困の原因が見えてきます。
マタバリ石炭火力発電所は、石炭火力発電であることによって大量の二酸化炭素が放出され、温暖化が進んでしまうから問題だということだけではありません。
発電所の土地を得るために、現地の人々は家や仕事を失い、十分な補償を受けることができませんでした。エビや塩の養殖に関わっていた2万人以上の人々が職を失いました。
以下の画像は現地の人たちの被害の実態です。
生活の糧を奪われた人々が、さらに貧困に追いやられてしまいます。
そのうえ、この発電所は日本の新規石炭火力発電所の21倍の二酸化硫黄、10倍の致死性粒子を排出します。日本の環境基準を下回るため、日本では建設できないような有害な発電所を建設することによって、先進国のグローバル大企業である住友商事などが利益を得ます。
この事業はJICAによるODA、つまり「途上国」の貧困を解消するための「国際貢献」として行われています。経済成長のために二酸化炭素を大量に排出して気候変動を加速させ、現地の環境を破壊し、現地で貧困を生み出す事業が「国際貢献」ともてはやされているのです。
世界の格差は、このように具体的な企業の途上国での開発によって拡大しています。
私たちFridays For Future Japan・SendaiはFridays For Future BangradeshやFridays For Future MAPAと連携して、マタバリ石炭火力発電事業への反対運動に取り組んでいます。
(詳細はブログ記事をご覧ください→HOME | FFF Sendai)
(署名はこちら→https://www.change.org/StopSumitomo)
そして、私たちの運動はバングラデシュでの反対運動を皮切りに、今後アジアを中心に世界中で行われる日本企業による環境破壊・開発に対する、現地の運動と連携した闘いを進めていこうと思っています。
参考:
https://sekitan.jp/jbic/wp-content/uploads/2021/04/Matarbari-Factsheet_2021_jp.pdf