《声明》女川原発再稼働に抗議します
私たちFridaysForFutureSendai(以下FFF仙台)は、10/29(火)に予定されている、東北電力女川原子力発電所2号機の再稼働に抗議します。
女川原発再稼働は、東北電力や経済産業省、原子炉メーカーといった「原子力ムラ」の利権拡大にはなっても、電力消費者や近隣住民といった市民の生活を向上させることはありません。持続可能かつ民主的な社会を求めて、私たちは女川原発再稼働に抗議します。
私たちは、これまで原子力発電に反対してきました。
・被曝労働者という犠牲をともなうこと
・処理できない核廃棄物を出すこと
・汚染水を海に流すこと
・事故のリスクが高過ぎること
・維持費やリスク軽減のための費用がかかりすぎること
など、理由をあげればきりがありません。
<再稼働という結論ありきの原発の評価>
東北電力は女川原発再稼働の理由として、「エネルギー資源に乏しいわが国においては、原子力発電は、安全確保を最優先に、安定供給、経済効率性、環境適合の観点から重要な電源であり、将来にわたって一定規模を確保していく必要がある」と発言しています。(※1)
しかし、これは原発再稼働という結論ありきの誤ったデータに基づいた主張です。日本には、十分な再生可能エネルギーのポテンシャルがあります(※2)。原発による電力供給は、事故、トラブル、点検、裁判、自然災害などで停止することの多い不安定なものです(※3)。経済効率性についても、発電コスト(円/kWh)で見ると、原発の新設は再エネ新設よりも数倍高く、既存原発の運転期間延長でさえ、再エネ新設あるいは再エネ新設と蓄電池を組み合わせたものと同程度となっています(※4)。環境適合性についても、原発のせいで再エネ導入が遅れCO2削減が停滞、核のゴミの処分まで含めたライフサイクル全体では大量のCO2を排出するため、気候変動対策になりえません。(※5)
<住民の安全を蔑ろにする、ずさんな避難計画>
なにより、女川原発再稼働は、「最優先」とされている安全確保がおろそかにされていることが問題です。周辺住民による差止訴訟では、行政の避難計画のずさんさが指摘されています。原発事故発生時に開設する検査場所(住民はこの検査場所で除染を受けてからの避難を求められる)が、交通渋滞によってそもそも開設できない。自家用車を持たない住民の避難のためのバスが用意できない。地震災害で道路が通行できない状態になることを想定していない。等々、問題が山積しています(※6)現状の避難計画は、住民の命をないがしろにするものです。
<原発再稼働は「原子力ムラ」の利権拡大のためでしかない!>
それでは、さまざまな問題点があるにも関わらず、電力会社や政府はなぜ原発を再稼働しようとするのでしょうか。それは、原発再稼働による利権を維持・拡大するためです。これまでも私たちは、原発のコストを見えづらい形で電気料金から負担してきました。大手電力会社は再稼働によってさらにその利権を拡大しようとしています。一例をあげると、2023年度から始まった、「長期脱炭素電源オークション」の制度にて、再稼働された女川原発2号機の電力が取引されれば、私たちの電気料金から、年間約336億円もの資金が、少なくとも20年間、東北電力に流れ込みます。10万kW以下の発電はこの取引に関われず、実質的に再エネは排除され、原発・LNGへの補助金として機能しています。(※7)
<地域を省みない強引な手続き>
原発再稼働への手続きも、到底民主的とは言えないものでした。2020年3月に河北新報社が行った世論調査では61%の人が「再稼働反対」、74%の人が安全性に対し「不安」であると答えています(※8)。市民グループが、女川原発再稼働の是非を問う県民投票を求める署名活動にて、宮城県内で11万筆の署名を集めましたが、県議会と知事は住民投票の開催を拒みました(※9)。女川原発再稼働は結論ありきの強引な手続きで進められており、本当の意味での「地元同意」は得られていません。
言論空間への圧力も大きな問題です。市民が自由に原発再稼働の是非を問うには、メディアが機能していることが重要です。しかし、東北電力を含む原発推進主体は、莫大な広告費によって、メディアに対して圧力をかけています。2023年度の東北電力の普及開発関係費(広告費)は約101億円。再稼働が近づくにつれて広告費を増大させています(※10)。
非民主的な手続きで決定された再稼働は、撤回されるべきです。
私たちFridaysForFutureSendaiは、本当の意味で持続可能で民主的な社会を求めて、女川原発の再稼働に抗議します。
※4) IEA “Nuclear Power and Secure Energy Transitions From today’s challenges to tomorrow’s clean energy systems”, June 2022.
※5) CCNE_GX_QandA2023.pdf (ccnejapan.com) p22,p23,p31
※6)女川原発差止訴訟第3準備書面https://miyagi-kazenokai.com/wp-content/uploads/2022/01/%EF%BC%93jyunbishomen%EF%BC%88R5.11.2%EF%BC%89.pdf
※7)長期脱炭素電源オークションの問題点 p12より「前提:約定価格58,254円/kW・非化石価値0.2円/kWh・可変費2.2円/kWh」にて、82万5千kW(女川原発2号機発電容量)稼働率70%として計算
※8)(河北新報「女川2号機「再稼働反対」61% 原発安全性「不安」74% 本社世論調査」https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/202004/20200416_13018.html)
※9)みんなで決める会
反原発派は嘘つき