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地域から気候危機・世界の環境破壊を問う闘いを作る

更新日:2021年9月23日




Fridays For Futureとは気候危機や環境破壊による人権侵害に対して抗議する、世界中に広がるムーブメントです。

 今週木曜9月24日は全世界のFridays For Future(以下FFF)が同時にストライキを行い、気候危機を訴え、気候危機を乗り越えるための「システムチェンジ」を求める「世界気候ストライキ」が実施されます。

 世界中の若者が各地でアクションを行います。FFFは世界中に広まる運動ですが、日本ではあまり知名度が高くありません。なぜFFFのメンバーが学校ストライキをしているのか、何を求めているのか、他にどのような取り組みをしているのかはほとんど知られていません。

 この記事では、これまでのFridays For Future Sendaiの運動を振り返り、Fridays For Future Internationalが9月24日の世界気候アクションに向けて示しているナラティブを踏まえたうえで、今後の私たちの運動について考えます。


1. 消費を変えるという気候危機への対処法


 気候危機が叫ばれるようになってから、日本でも多くの気候危機に対する運動や取り組みがありました。よく目にするのが、マイバックやヴィーガン、節電など、個々人の生活の中でできることを選択したり、呼び掛けたりする取り組みです。「エシカル消費(倫理的な消費)」という言葉が流行っています。

 これらの取り組みの効果は限定的と言わねばなりません。気候危機への責任は人類みんなが平等に責任を負っているわけではありません。世界の豊かな10%の人が温室効果ガスの50%を排出している一方で、下位半分が占める排出量はわずか10%にすぎません(※1)。1988年から2015年の間の温室効果ガス排出量の71%は、わずか100の企業が排出していることを示すデータもあります(※2)。

 そもそも「消費」を変えるという取り組みを実行できるのは、生活に余裕のある先進国の一部の人たちに限られます。歴史的に、環境破壊の拡大と同時に、貧富の格差は日本はもちろん世界中でも拡大してきました。一人一人の消費のあり方だけが重要視されると、最大の汚染者たちを覆い隠してしまうことになりかねません。気候危機への取り組みは、私たちのひとりひとりのある種の「我慢」ではなく、自然や人間から富を吸い上げてきた企業の活動を規制し、格差・貧困の拡大を許してきたシステムへの闘いです。

 実際に多くのFFFが。気候危機への対策として企業に対して地球破壊への規制・大幅の課税を求めるのと同時に、貧困層への再分配を求めています。




2.Fridays For Future Sendai の取りくみ


 2019年9月の世界気候ストライキを機に発足したFridays For Future Sendaiは、宮城県から地球の環境破壊、気候危機を問うてきました。

 宮城県は日本のエネルギー問題が凝縮された地域です。気候危機を推し進める最も責任ある発電である石炭火力発電所があります。化石燃料を燃やさないという理由で再稼働が推し進められようとしている原子力発電所もあります。

 また、いわゆる再生可能エネルギーであるバイオマス発電やメガソーラーも数多く存在しますが、これらの発電は大企業の利益だけが全面に出ており、発電所の建設・稼働の過程で数多くの人権侵害が発生しています(*FFF仙台のブログを参照)。宮城県の最南端の丸森町は2019年の台風19号での犠牲者が自治体単位で最も多い域でした。台風の大規模化は地球温暖化が主な原因とされています。

 これらの問題に対して、それぞれ住民と連携して取り組んできました。実際にメガソーラーの問題のついては、法律の運用を日本全国の規模で改善することにつながり、実際に一部の発電を止めることにも成功しました。成功の理由は、この問題に対して取り上げる人、闘う人、仲間をたくさんつくれたことです。住民だけではなく、FFF、ジャーナリストなどもこの問題に取り組み、多くの人がこの計画の問題性を訴える姿をみた政治家が最後に法の運用の改善を官僚に求め、事業者も計画を変更せざるを得なくなったのです。

 消費のあり方を変えるという方法ではなく、問題を社会に発信して、企業、行政の責任を問い、運動によって社会を動かすことができると分かったのはとても大きな経験となりました。

 しかし、運動によって変えることができたとはいえ、それは日本国内の一部の話です。日本国内の反対運動が成功しても、日本企業が海外に逃げ、結果的に環境破壊がグローバル・サウスに輸出されることは、歴史的に繰り返されてきました。日本国内にとどまる運動には限界があるのです。今世界のFFFは世界規模で問題に取り組むという点を意識して、「世界気候ストライキ」を実施しようとしています。



3.今回の世界気候アクションのナラティブについて

 

  9月24日の世界気候アクション(GLOBAL CLIMATE STRIKE)に向け、Fridays For Future International が提示しているナラティブ※3は、MAPA(マパ、マーパ:Most Affected People and Area=最も被害を受けている地域と人々)に目を向け、MAPAをMAPAたらしめてきた先進国の加害性を浮き彫りにし、活動家が徹底的にMAPAの側に立って声を上げていくことの必要性を訴えかけるものです。

 MAPAが気候変動の脅威にさらされ、貧困であり続けているのは、決してMAPAが無力だったからではありません。日本を含む先進国が「豊かに」なってきたのは、そうした人々を差別し酷使し、そうした地域から資源を奪い取って、不要なものを押し付けてきた結果、犠牲区域にしてきた結果なのです。そして、危機的な状況の中、MAPAでは命がけの運動が行われています。抵抗の相手は、多国籍企業の環境破壊や殺人行為、ひいては今も続いている先進国の植民地主義的な行いです。

 MAPAは、既に気候危機でひどい被害を受けています。先進国である日本全体にその脅威がおよび、私たちの命が気候変動によって脅かされるころには、途上国は壊滅してしまっているでしょう。先進国で運動をする私たちが、自分たちの被害を逃れるために声を上げるのは、十分ではありません。

 このナラティブからはこうした意気込みが伝わります。人々の心を燃えさせる効果があり、私たちも大きく影響を受け、自分たちの運動を見直し前進させることにつながりました。今回の世界気候アクションのテーマがMAPAで、次は違うテーマ(例えば政府に働きかけよう)になるということではなく、今後どれだけMAPAの側に立った運動ができるかが問われていると言えます。




4.世界で環境破壊を繰り返す住友商事と闘う


 FFF仙台は、日本国内だけなく、最も被害をうける人たちへの加害行為に対しても立ち向かっていきます。

 今回の世界気候ストライキを皮切りに、住友商事が建設を進める「仙台高松バイオマス発電所」に対して反対運動を開始していきます。この問題は仙台における環境汚染の問題にとどまらず、海外で行われている森林伐採を問わなければなりません(森林伐採と気候危機の関係についてはFFF仙台のブログを参照)。

 住友商事は日本の東京に本社を置く世界的総合商社で、世界規模の石炭やバイオマスのネットワークの中心にいる企業であり、地球上で最も有害な燃料の採掘、粉砕、資金調達、輸送、燃焼に携わっています(migty earthの報告書※4を参照)。

 住友商事は発電用バイオマス燃料を北米、ベトナムなどの国外から輸入しています。住友商事はPacific BioEnergy Corporation、Enviva Partners, LPやPinnacle Renewable Energyなどのカナダで森林破壊を繰り返している企業から木材を輸入していることが分かっています。住友商事が契約している企業らの森林伐採によって、ブリティッシュコロンビア州の原生林がほぼ消滅したとされています。木が少なくなるとその森林は乾燥し、火災のリスクが高まります。今年の7月にはカナダの同地域は大規模な火事が発生し、世界中で話題になりました(※5)。カナダの住民は企業の環境破壊に対して闘っています。この環境破壊には住友商事が大きく関係しているため、日本に住む私たちの活動は環境破壊を止めるうえで非常に重要です。 

 住民と連携することで運動は力を得ることができました。今後は世界規模で連携を作り、環境破壊と闘っていきます。


※4 Mighty Earth 新報告書『住友商事が引き起こす環境破壊 :石炭とバイオマスが影を落とす日本の未来』https://www.mightyearth.org/sumitomojp




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