10月22日、私たちは学校をストライキして、バングラデシュに建設中のマタバリ石炭火力発電所について住友商事とJICAに申し入れを行いました。また、自分たちで学習会を開き、社会の現状をふまえてディスカッションを行いました。今回は、その報告記事です。
〇目次
1.ストライキについて
2.集合、住友商事へ抗議
3.街頭宣伝
4.JICAへ抗議
5.青空学習会・ディスカッション
6.参加者コメント
7.反響とまとめ
1.ストライキについて
10月22日はGLOBAL CLIMATE STRIKE といって、世界中の若者が学校をストライキして気候変動問題を訴える日でした。
現在「ODA(政府開発援助)」による「国際貢献」という名目で、住友商事などの日本企業とJICAがバングラデシュの人々を抑圧し、気候変動を押し進めています。現地バングラデシュでは環境破壊に対する命がけの闘いが続いており、2016年には、中国の資金援助による石炭火力発電所の建設計画に対する抗議行動中に警官が発砲し、少なくとも4人が殺され、30人が負傷しました。今年2021年も、石炭火力発電所の労働者が未払賃金を求めて抗議した際、少なくとも5人が死亡し、12人が重傷を負いました。「ODA」は本当に「国際貢献」でしょうか。本当に知りたいことは、学校では教えてもらえません。SDGs企業に勤める、青年海外協力隊になる、などでは、気候変動や、拡大するグローバル格差の問題は解決できません。私たちはに街に出て、何とかしたいという想いを持った人々で集まり、社会で本当は何が起こっているのか、今私たちは何をする必要があるのか、共に学び、「抵抗の知」と想像力を取り戻すための行動をしました。
詳しくはこちらの、Fridays For Future Sendaiの呼びかけ文をご覧ください。
10月15日に開いた記者会見の動画はこちら
仙台駅西口でのチラシ配り↓
2.集合、住友商事に抗議
五橋公園に集合し、思い思いのプラカードを作成しました。
前の週に配っていたチラシを受け取った高校生が友人と高校をストライキして初参加しました。他に、岩手、福島、仙台から、初参加の大学生がいました。
スケジュールや注意点も確認しました。↓ | 「社会を変えたい」など思い思いのプラカードを作成↓ |
今回のストライキには、『人新生の「資本論」』斎藤幸平さんも毎日新聞社の取材で参加し
てくださいました。
「仙台キャピタルタワー」の15階にある住友商事東北株式会社に申し入れに行きました。
申し入れ内容についてはこちら
9月にFridays For Future Japanマイノリティから考える気候正義プロジェクトが送付した公開質問状に対する回答の不十分さを指摘し、再度回答を求めました。
1度目の回答には、バングラデシュ政府と合意をしていることや、バングラデシュのいろいろな支援をしていることが書かれていましたが、被害が出ている事実には関係がありません。
「私たちも、バングラデシュ人たちも本当に怒っているんです。真剣に考えてください。」と伝えても、担当者は「然るべきところに渡す」「考えていく」ということしか言いませんでした。
3.街頭宣伝
藤崎ファーストタワー前に移動して、街頭宣伝を行いました。
反対側では衆議院議員候補者が選挙演説をしていた中、「社会を変えるのは政治でなくて私たちの運動だ!」「民主主義は選挙だけじゃない!」という私たちのメッセージが熱を帯びました。
4.JICAへ抗議
さらに移動して、JICA東北へ申し入れを行いました。
前回の公開要求書に対する回答では「JICAの環境ガイドラインを守っている」という主張がありました。しかし、ダッカ高裁が現地実施機関に対し、アクセス道路建設に伴う河川の違法な埋め立て工事の差し止め命令を出しているにもかかわらず、事業を進めていることはJICAの『環境社会配慮ガイドライン』に反しています。また、JICAが一方的に定めたガイドラインを自身守ったところで、地域の環境破壊や人権侵害は止まりません。
一連の申し入れに対しては、「(JICA東北の事業ではなくて、JICA本体の事業であるため)詳細を知らないので、なんとも言えない」と繰り返されました。
石炭火力発電に対しては世界的に反対の声が挙げられているうえ、本事業に関しても、バングラデシュの人々から抗議があるのはもちろん、世界各地の環境団体から問題が指摘されています。それにもかかわらず本当に知らないのでしょうか?
確かに、市中心部のビルの20階に構えられたJICA東北のオフィスから、事業によって苦しめられるバングラデシュの人々のリアリティは感じられません。何が起きていようが知る由もないのかもしれません。しかし、知っていようが知らなかろうが、人体にも環境にも有害な発電所を建設することは大問題であり、反対運動の高まりを無視することは極めて不誠実です。
※参考
ビルの前でスタンディングもしました。↑
5.青空学習会・ディスカッション
勾当台公園市民広場に移動し、まとめと昼食の時間にしました。「担当者がひどかった」「対話の限界を感じた」といった感想がありました。
私たちが今回学校をストライキしたのは、自分たちは学校では本当のことを教わっていない、という想いからでもありました。ODAの実態や社会運動については学校では教わりません。形式的な話し合いの場が設けられても、「先生の望む回答」がちらつき、意味のないものになってしまいます。そうした環境で、私たちは現状と異なる社会を想像する力と実践にうつすパワーを奪われています。自分たちで学び、考え、議論する場が必要です。
そのため午後は、「グローバル企業の加害行為と抵抗運動」をテーマに学習会、ディスカッションをしました。内容は、開発と、それを引き起こす構造が何をもたらしているのか、JICAの開発の歴史から、グローバル・サウスや女性への抑圧、また日本社会の労働問題まで幅広く、みんながディスカッションに主体的に参加して盛り上がりました。
↑外は寒かったですが、ディスカッションは熱くなりました。「抵抗の知」を取り戻していこう。 |
Fridays For Future Sendaiでの学習会やミーティングでも、今回の青空学習会に近いことをしています。こうした場の重要性を改めて実感しました。
ここまでで、一日のアクションが終了です。最後にはこれからも頑張っていこうと言い合って解散しました。
6.参加者コメント
参加者のコメントです。
〇初参加した仙台市内の高校1年生
まず初めてストライキというアクションに参加してみて、自分が今までどれだけ小さく生きていたのかを知ることができました。またそれと同時に、自分が社会の激流の中でしっかりと存在していることを実感できたと思います。行動することと思想を研ぎ澄ませて考えることは相対するものだと思い込んでいましたが、全然そうではありませんでした。考えるだけで満足してたり、安全で何もないとこ要するに小さな世界観の中で、きっと誰かが解決するだろうといった浅はかな他力本願的な考えが生活の中でよりはっきりと見えるようになったと思います。教科書には載っていない素晴らしい一生物の経験を一つできました、これを経験で終わらせずにまた参加したいと強く思います。
〇福島から初参加した大学4年生
似た問題意識や、社会に対してもやもやを抱いてる同世代と実際に話したことはとっても刺激になりました。
この社会を生きていることで感じるもやもやしたものが自己啓発など内向きに向かってしまう今の若者の心情というのは、根の深いものだと思う。
そのもやもやは社会に向けていかなかければならない。
どのように社会に向けていくかを活動をやりながら考えていきたいと思います。
街頭でマイクを取ってスピーチするのは緊張しましたが、普段感じているもやもやを話すことができ、少し解放感がありました。
〇清野(Fridays for future Sendaiのメンバー、大学2年)
グローバル・サウスは長い間声を上げてきたのに、こうして無視され続けてきたのだということを目の当たりにしました。
日本企業のグローバルサウスでの環境破壊活動について、明確に抗議するストライキをしたのは、今回が日本で初めてです。5人もの新しい高校生、大学生が参加しました。
すでに世界のFridays For Futureでは多くの若者がストライキに参加し、社会を動かしてきています。
日本の運動はこれからです。今回は最初の一歩です。
今後も引き続き抗議していきます。
7.反響とまとめ
今回のストライキは世界のFridays For Futureにも取り上げられました。
活動の写真とともに、「今日はグローバル気候ストライキ!私たちのアクションの最初に、@fffsendai がバングラデシュに石炭火力発電所を建設している住友商事と、「国際貢献」の名の元でバングラデシュの石炭火力発電所に融資するJICAに抗議している。 」と紹介されています。
時差の関係で、アジア地域が世界中で一番早く10月22日のアクションをしています。
また、バングラデシュの活動家が記事を書いてくれました。
これまで日本では全国規模での学校ストライキは行なわれたことはありません。、まわりの大人たちは「学校に行け」と言います。しかし、この状況において「学校に行け」と言うことは、グローバルサウスへの抑圧や気候変動に加担することと同じです。私たちZ世代の多くは、学歴競争を強いられ、社会について考える暇もなく企業で働くようになり、低賃金で長時間労働をしなくてはならず、その上今の生活を続けていては地球が破壊されてしまうという状況です。今まで通りに学校に行き続けても未来が見えません。新しい社会のあり方、新しい私たちの生き方を考えていくことを免れることはできませんし、考えていきたいのです。
今回、同じ志を持った人たちが、新たに集まり、これからも一緒に行動していくことになりました。
一緒に新しい社会のあり方を考えて、作っていきましょう!
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